漫画「ドラえもん」には、3つの公式最終回が存在します。「ドラえもん未来へ帰る」「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」「さようなら、ドラえもん」。それぞれを詳しく紹介します。
漫画ドラえもん 3つの最終回まとめ【公式】
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- ①ドラえもん未来へ帰る
- ②ドラえもんがいなくなっちゃう!?
- ③さようなら、ドラえもん
一つ目の「ドラえもん未来へ帰る」。二つ目の「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」は公式に最終回に位置づけられているもの。
三つ目の「さようなら、ドラえもん」は、本来最終回になるはずだったエピソードです。以下ではそれぞれのエピソードを解説していきます。
↓「ドラえもん未来へ帰る」「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」収録漫画
↓「さようなら、ドラえもん」収録漫画
①ドラえもん未来へ帰る
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漫画「ドラえもん」一つ目の公式最終回は、「ドラえもん未来へ帰る」。小学四年生(1971年3月号掲載)。
長い間コミックス未収録だったため、ファンの間では幻の最終回とされていました。現在では藤子・F・不二雄大全集の『ドラえもん』第1巻(2009年刊)に収録されているので、気軽に読むことができます。
旅行者のマナー違反が原因で、時間旅行法が制定。その結果ドラえもんも現代にいることができなくなるというもの。ラストの別れのシーンでは涙を誘います。「旅行客のマナー違反」という現実でも起こっている社会問題を取り入れているあたりが、藤子・F・不二雄らしい演出ですね。
あらすじ
いつものように、のび太は自分の部屋で寝ていた。ザワザワした物音がのび太の眠りを妨げる。物音に気が付き、目を覚ましたのび太は、大勢の人間が現れては、壁をすり抜けて消えていく不思議な光景を目にする。
翌朝、一時的に未来の世界に帰っていたドラえもんが帰ってくる。しかし、どこか様子がおかしい。元気がなく、落ち込んでいるようである。のび太はドラえもんの様子が気になりつつも、昨晩の不思議な出来事を説明しようとする。
その矢先に、ママがのび太を呼びつける。壁に描かれた落書きを指さしてのび太を叱るママ。しかし、のび太にはその落書きに覚えがない。そこに、パパがやってきて大事なライターがなくなったと騒ぎ出す。
「そういえば、このところいろんな物がよくなくなるなあ」。3人は顔を見合わせる。不思議そうな3人に、ドラえもんが「とうとう、このへんにもあらわれたか」と力なくつぶやく。
時間旅行者が大量に押し寄せる
のび太とドラえもんは自分たちの部屋に戻る。のび太はドラえもんと向かい合っておやつを口にするが、ドラえもんは大好きなはずのどら焼きに手を付けようとしない。声をかけてもどこか上の空だ。
そこに、突然大勢の人間たちが部屋に侵入してくる。昨晩の出来事のように突如現れたのだ。その先頭にいた男は名刺を差し出してくる。「自分は未来世界の観光会社ガイドで、未来世界の時間観光ツアー客を案内している」と名乗りだす。
大勢の人間たちは、未来からの時間旅行者だったのだ。ドラえもんは「旅先の時代の住人に気づかれないように行動するのが時間旅行のルールだろう」と怒るが、ガイドは悪びれずに「それでは客が満足しなくなったのだ」と言う。
時間旅行者たちは、野比家でやりたい放題である。カップルは家の中でイチャつき、中にはパパの入浴をのぞく人もいた。さらには、ママが洗っていたシャツを珍しがって買い取ろうとする。家に落書きをする旅行客もいる。
のび太、パパ、ママはその行動に怒りをあらわにする。しかし、4次元空間を移動する彼らを捕まえることができない。
野比家が大混乱する中、ピストルを持った男が「ここが気にいった、下宿するぜ」と突然の下宿宣言。その男は、未来の凶悪な犯罪者であった。野比家、旅行客を騒然とさせるが、男を追ってきたタイムパトロールがその場を制圧する。
時間旅行が禁止される
その後、旅行客も去り野比家に静寂が戻る。のび太は「時間観光旅行なんて迷惑だ!」と憤慨していると、セワシが現れる。セワシは未来で「時間旅行規制法」が制定されたと説明する。
時間旅行客のマナーが悪化し、過去の人間に迷惑が及んでいるため、規制ができたというのだ。この規制により、一切の時間旅行が禁止になったという。
ドラえもんが元気をなくしていた理由はここにあった。規制法により、ドラえもんは未来の世界に帰らなければいけない。セワシはドラえもんを迎えに来たのであった。
のび太は、ドラえもんを引き留める。そんなのび太を目にしたドラえもんは「男だろ!これからはひとりでやってくんだ。きみならできる!!」と檄を飛ばす。
別れの時
やがて、別れの時がやってきた。
のび太にげきを飛ばしていたドラえもんも、いざ別れの瞬間になると「のび太くんとわかれるのいやだあ」と泣きわめく。セワシに引っ張られて強引にタイムマシンで未来へと帰っていく。
こうして、ドラえもんはのび太の前から姿を消した。タイムマシンの入口となっていた、机の引き出しもただの引き出しに戻った。のび太は、机の引き出しを開ける度にドラえもんのことを思い出す。
「つくえの引き出しは、ただの引き出しにもどりました。でも……、ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。」
ネットの感想
漫画「ドラえもん」の公式最終回「ドラえもん未来へ帰る」に関するネットの感想を集めてみました。Twitterなどを使って感想を調べたのですが、国民的漫画とは思えないほど感想の投稿が少なかったです。
幻の最終回と呼ばれていたのも納得です。現在もアニメが継続して放送されていることもあって、知名度は高くないようです。
ちなみに、私もこの記事を書くにあたって初めて知りました。
②ドラえもんがいなくなっちゃう!?
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漫画「ドラえもん」二つ目の公式最終回は、「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」。一つ目の公式最終回のちょうど1年後の「小学四年生」(1972年3月号)に掲載されました。
道具に頼り切った自堕落なのび太。その自立心を育てるために、自ら未来へ帰る決意を固める最終回です。本最終回でも、やはり未来に帰るというのが結末となっています。
一人で頑張ろうとするのび太にエールを送りたくなる最終回です。かなりキレイな終わり方だと思います。
あらすじ
友達とサイクリングに行く約束をしたのび太。しかし、のび太は自転車に乗ることができない。困ったのび太は、ドラえもんとその道具に頼ろうとする。いつもならしぶしぶ道具を出して助けてくれるドラえもん。
しかし、ドラえもんはのび太を冷たく突き放す。「ぐずぐずいってるひまに、練習したらどうだっ!!」。いつもと違う反応にのび太は驚く。動揺したのび太は、思わず部屋を飛び出してしまう。
未来に帰る理由
ドラえもんは、自分に頼りっきりののび太の将来を心配していた。自分が未来に帰ることでのび太の自立心を育てようと考えていたのだ。しかし、中々そのことをのび太に言い出せずにいた。
ドラえもんはセワシに悩みを相談する。相談の結果、故障したという嘘の理由で未来に帰ることにする。のび太は、その嘘を疑うことなく信じる。のび太は、「ドラえもんがいなくなったら困るけど、ドラえもんのために我慢する」という。「自分に構わず帰って欲しい」とも…。
一人で頑張るのび太
のび太の優しい言葉に感動したドラえもんは、正直に本当の理由を話すことにする。のび太はそれを受け入れる。勇気を振り絞って、ドラえもんを未来の世界に送り出したのだ。こうして、二人は別れたのであった。
その後、のび太は一人で自転車に乗る練習を始める。何度転んでも起き上がるのび太。ドラえもんとセワシは、その姿をタイムテレビを通して暖かく見守っていた…。
この公式最終回には後日談もあります。連載誌が「小学六年生」に拡大されたため、「小学五年生」にはドラえもんが未来の世界から帰ってくるという2ページ漫画です。
連載誌の都合とはいえ、「せっかくのび太が一人で頑張ろうとしているのに…」と野暮だと思ってしまいます。ただ、この後日談があったから現在までドラえもんが続いているのだと考えると、アリなオチだったのかなとも思います。
ネットの感想
ネットの感想の中で印象に残ったのは、「のび太のおばあちゃんの伏線も回収して」という部分。名作エピソードとして有名な「おばあちゃんの思い出」。そこに登場するおばあちゃんのセリフとリンクしていますね。
「ねえ、のびちゃん。ダルマさんてえらいね。なんべんころんでも、泣かないでおきるものね。のびちゃんもダルマさんみたいになってくれるとうれしいな。ころんでもころんでも、ひとりでおっきできる強い子になってくれると………、おばあちゃん、とっても安心なんだけどな。
③さようなら、ドラえもん
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漫画「ドラえもん」三つ目の公式最終回は、「さようなら、ドラえもん」。「小学三年生」(1974年3月号)に掲載。本誌掲載時のタイトルは、「みらいの世界へ帰る」。
公式の最終回の中で最も知名度の高い作品ですね。未来に帰ることになったドラえもん(理由は不明)。ドラえもんを安心して未来に帰すために、のび太はボロボロになりながらもジャイアンにケンカで勝利するという感動ストーリーです。
当初は、このエピソードが本当の最終回となる予定だったようです。その証拠に、掲載誌の最後のコマに描かれているゴミ箱には「OWARI」と記載されていたようです(単行本掲載時には「LOVE」に変更されている)。
作者としては最終回のつもりで執筆していたそうですが、ドラえもんのことがどうしても頭から離れずに思い直して執筆を続けたそうです。その後に描かれたのが「帰ってきたドラえもん」です。
あらすじ
いつものようにジャイアンにいじめられるのび太。そして、いつものようにドラえもんに助けを求める。しかし、ドラえもんはのび太を冷たく突っぱねる。のび太はドラえもんのいつもと違う様子に驚く。
ドラえもんを問い詰めるのび太。ドラえもんは、「未来に帰らないといけなくなった」と語る。のび太はドラえもんにすがりついて引き留める。ママに相談するが、「ドラちゃんにも都合があるのよ。わがままいわないで」となだめられる。パパからも「人に頼ってばかりいてはいつまでも一人前になれない」と叱られる。
のび太は悩んだ挙句、ドラえもんとの別れを受け入れる。そして、ドラえもんとの最後の夜。中々眠ることのできない二人は、一緒に夜の散歩に出かける。途中で泣きそうになったのび太は、ドラえもんに涙を見せないように別行動をとる。
ジャイアンとのケンカ
のび太は、寝ぼけて徘徊していたジャイアンに出くわす。のび太はジャイアンをからかい、ケンカに発展。いつものようにボロボロになるまで殴られるのび太。しかし、何度倒されてもジャイアンに立ち向かっていくのび太。
「自分がしっかりしないとドラえもんが安心して未来へ帰ることができない」
のび太は、ジャイアンに何度も立ち向かう。傷だらけになりながらも、何度も立ち上がり、ジャイアンに向かっていく。そんなのび太の気迫に押されたジャイアンは「おれの負けだ」と負けを認めて帰っていく。
未来へ帰るドラえもん
そこにドラえもんが駆けつける。のび太は、一人でジャイアンにケンカで勝ったことを報告する。ドラえもんに担がれながら家に帰るのび太。その帰り道、のび太はうわごとのように「安心して未来に帰って欲しい」と繰り返す。
のび太の言葉を聞いたドラえもんは、涙をボロボロと流す。
部屋に戻ったのび太は、布団で静かに眠り始める。ドラえもんは、涙を流しながらその寝顔を横で見守る。やがて朝になり、部屋に陽射しが入ってくるころ、ドラえもんの姿はもう消えていた。
ネットの感想
漫画「ドラえもん」の公式の最終回といえば、「さよならドラえもん」を思い出す人が多いようですね。アニメ化もされて何度も放送されているエピソードなので、印象に残っている人も多いです。
やはり「泣いた」という声も多いですね。
公式の最終回が3つ存在する理由
学年誌の連載だったから
公式の最終回が3つも存在する理由は、「学年誌での連載だったから」。特殊な連載形式が要因で、最終回が複数存在しています。
漫画「ドラえもん」が連載されていたのは、「小学〇年生」という小学館の学年誌。学年誌の読者は、基本的に1年間しか雑誌を読みません。自分が進級すれば、一学年上の学年誌を読むことになります。
そのため、進級前ラストの3月号の学年誌には、慣例的に最終回的な内容が掲載されることがありました。進級する読者に配慮しての最終回ですね。(新学年スタートとともに連載は続いていく)
単行本発売、連載拡大のため最終回は書かれなくなった
漫画「ドラえもん」の連載当初は、小学四年生までしか刊行されていませんでした。そのため、小学四年生の最後である3月号に漫画「ドラえもん」の最終回が掲載されました。
当初は、上記のような理由のために漫画「ドラえもん」の最終回が執筆されました。ですが、単行本の発売や学年誌が小学六年生まで拡大されたことで、以降は最終回が執筆されることはありませんでした。
ドラえもんの公式の最終回が3つある理由でした。
非公式の2つの最終回
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漫画「ドラえもん」の公式最終回を紹介してきました。以下では、ファンによる非公式な最終回を紹介します。都市伝説と化すほど有名な非公式最終回は以下の二つですね。
- 電池切れ説
- のび太植物人間説
電池切れ説
一ファンが漫画の形式で発表した非公式最終回「電池切れ説」。タイムパラドックスをテーマに置いたかなりクオリティの高い非公式の最終回。ラストは感動できます…。詳しくは以下の記事でまとめています。
ドラえもん最終回「電池切れ説」ファンの2次創作だけど感動した…
のび太植物人間説
子どもの噂から端を発し、ついには公式がコメントを出すほどまで拡散された非公式最終回。こちらは、かなり切ない内容になっています。いちドラえもんファンとしては、到底受け入れられるものではありません。
詳しい内容は以下の記事でまとめています。