アンパンマンのマーチの歌詞が「深い」と話題になっています。小さいころ何気なく聴いていた歌だけに、改めて歌詞を読むと、その深さに驚きます。
歌詞の中には、「生きる意味」「やなせ氏の戦争体験」「アンパンマンの存在意義」色々なメッセージが込められていました。
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目次
アンパンマンのマーチが深い【5つの歌詞】
アンパンマンのマーチの歌詞の中でも、特に「深い!」と思った歌詞5つを抜き出してみました。それぞれに込められた意味を紹介していきます。
- 生きる意味を問う歌詞
- 死を連想させる歌詞
- 人生について考えさせられる歌詞
- やなせ氏の思い描いたヒーロー像
- アンパンマンの存在意義
生きる意味を問う歌詞
たとえ胸の傷が痛んでも
何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!
引用:「アンパンマンのマーチ」の歌詞より
一つ目の深い歌詞。
冒頭の歌詞ですね。アンパンマンのマーチの歌詞の中には、「生と死」についてのメッセージが込められています。
「生きる喜び」「何の為に生まれて何をして生きるのか」「解らないまま終わる」など、歌詞の中には生と死を連想させるフレーズが散りばめられています。
特に印象的なのは、「何の為に生まれて 何をして生きるのか」という部分。生きる意味を問いかけています。
この問いかけに、即答できる人はいないと思います。子供だけでなく、大人にとっても難しい問いかけ。アンパンマンのマーチの歌詞が深いと言われるのは、色々と考えさせられる歌詞が含まれているからかもしれません。
アンパンマンの生きる意味は、「困っている人を助けること」。アンパンマンはそのためだけに存在しています。困ってる人のためであれば、自分の顔を喜んで差し出します。
顔の一部を差し出すことで、アンパンマンの能力は落ちます。ですが、アンパンマンはためらいもせず自分の顔をちぎって渡します。困っている人を助けることが、アンパンマンにとっては生きる喜びなんですね。
死を連想させる歌詞
解らないまま終わる そんなのは嫌だ!
引用:「アンパンマンのマーチ」の歌詞より
二つ目の深い歌詞。
生に関する歌詞がある一方で、死に関する歌詞もつづられています。直接「死」という表現は使っていませんが、「終わる」という歌詞から「死」を連想させます。
何をして生きるのか、何をして喜ぶのか。生きる意味と自分の幸せが解らないまま終わる(死ぬ)なんて嫌だとつづられています。
この一連の歌詞には、やなせたかしさんの人生をかけた問いかけが詰まっているようです。
戦争を経験しているやなせたかしさん。自分よりも器量が良く、能力も高かった弟が特攻隊に志願。そのまま戦死した経験も持ちます。そんな戦争経験から、「自分はなぜ生き残ったのか」「何のために生きるのか」という問いかけが生まれたのかもしれません。

人生について考えさせられる歌詞
だから君は行くんだ微笑んで
引用:「アンパンマンのマーチ」の歌詞より
三つ目の深い歌詞。
「時は過ぎる」という歌詞からは、時の流れの無常さを説いているように感じます。
そして、「光る星は消える」という歌詞からは、誰にでも訪れる死についての歌詞にとれます。「光る星」という部分は命の比喩でしょうね。
時間が過ぎれば、誰にでも死が訪れる。そんな残酷な時の流れに対する歌詞かと思いきや、そうではありません。
「光る星は消える」という歌詞から、「だから君は行くんだ微笑んで」と続きます。
「時間は限りのあるものだから、楽しく笑って生きよう」というメッセージですよね。
やなせ氏の思い描いたヒーロー像
行け!皆の夢守る為
引用:「アンパンマンのマーチ」の歌詞より
四つ目の深い歌詞。
ここの歌詞には、やなせたかしさんの思い描くヒーロー像が描かれているようです。
「それいけ!アンパンマン」の大きなテーマとして「自己犠牲」があります。アンパンマンの存在自体が、そのテーマを物語っています。
アンパンマンの生きる喜びは、困っている人・飢えている人を助けること。自分の顔をちぎって分け与えることで、飢えから救っています。たとえ、それが自分の能力を落とすことになってもためらいません。
アンパンマンの設定に、作者のやなせたかしさんの思い描くヒーロー像が表れています。
ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そしてそのためにかならず自分も深く傷つくものです
引用:第1作『あんぱんまん』のあとがきより
やなせたかしさんの思い描いたヒーローは、かっこよく敵を倒して、去っていくヒーローではありません。
たとえかっこ悪くなったとしても、飢えている人を救うヒーローです。それこそが本当の正義だと考えていたようですね。
アンパンマンの目的も、バイキンマンを倒すことではありません。飢えている・困っている人を救うこと。バイキンマンを倒すのは、それを邪魔しようとするからです。
バイキンマンのアジトに行って、壊滅するようなことはしません。アンパンマンのマーチと同じく、アンパンマンの物語も1話1話が深いんですよね…。
アンパンマンの存在意義
だから君は飛ぶんだ何処までも
引用:「アンパンマンのマーチ」の歌詞より
五つ目の深い歌詞。
アンパンマンの存在意義に関する歌詞にもとれます。アンパンマンの夢は、飢えている人を救うこと。そのためにいつもパトロールをしています。
「忘れないで夢を」「零さないで涙」という部分からは、厳しさも感じますね。正義のヒーローであるアンパンマンは泣きごとを言うことも許されないのでしょうか。
私は、この歌詞から「人生の厳しさ」を伝えるメッセージを感じました。生きる中で、理不尽なことは誰にでも起こります。理不尽に死が訪れることもあります。その最たるものが戦争。
そんなことが起こり得る人生だからこそ、「忘れないで夢を」など生きる喜びに関するフレーズや、「解らないまま終わる」など死に関するフレーズを歌詞の中に散りばめているのかもしれません。
アンパンマンのマーチの歌詞をテーマにしたアンパンマン映画
歌詞を読めば読むほど「深い」と感じさせられるアンパンマンのマーチの歌詞。
そんな「アンパンマンのマーチ」の歌詞の一節「何のために生まれて 何をして生きるのか」をテーマにしたアンパンマン映画があります。
それは、2006年に公開された劇場版第18作目「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」。
一体の人形の生と死の物語です。
生きていることや、自由に体を動かせることに喜びを感じるドーリィ。町に出かけて自由を謳歌する。せっかく生きているのだからと、やりたい放題。町のみんなは、そんなドーリィに嫌気がさしてくる。
そんな中、ドーリィは胸の中にあるいのちの星が輝きを失っていることに気づく。命の源であるいのちの星。それが消えればドーリィは死んでしまう。
「死ぬかもしれない」と危機感を抱くドーリィだったが、その悩みを誰にも相談することができずに…。
なんのために生まれて なにをして生きるのか
「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」の劇中では、アンパンマンのマーチの歌詞が度々登場します。
この歌詞について、ドーリィは以下のように答えます。
決まってるじゃない。もちろん自分のためによ!
せっかくもらった命だから楽しまなくちゃ
子供向けのアニメとは思えない深いセリフですよね。ドーリィの言っていることは共感できるし、その通りだと思う人も多いと思います。
ですが、ドーリィの命の星は無常にも輝きを失っていきます。
劇中で描かれる死
詳しい説明は省きますが、劇中ではドーリィの死が描かれます。
バイキンマンの攻撃から、身を挺してドーリィを守るアンパンマン。ドーリィは「もうやめて」と叫びますが、アンパンマンは動こうとはしません。
そして、アンパンマンは黒こげになってしまいます。バタコさんの投げる新しい顔も弾いてしまいます。ジャムおじさんは、アンパンマンの死を悟ります。
そこで、ドーリィは自分の胸にあるいのちの星をアンパンマンに渡します。アンパンマンは復活しますが、いのちの星を失ったドーリィはただの人形になって崖から落ちていってしまいます。
バイキンマンは倒したものの、ドーリィを救うことができなかったアンパンマン。悔し涙を流します。歴史の長い「アンパンマン」ですが、ここまで明確にキャラクターの死が描かれるのも珍しいですよね。
何の為に生きるのか
死んでしまったドーリィですが、死の直前に「何のために生まれたのか」を悟ります。
「アンパンマンを救うために生まれてきた」
いのちの星を失って死んでしまったアンパンマン。そのアンパンマンを救うために生まれてきたことを悟り、そして自分の命の星をアンパンマンにわたします。
そして、死んでしまうドーリィ。
残酷なまでに、「アンパンマンのマーチ」の歌詞を体現しているドーリィというキャラクター。
見ていても、「本当にこれで正しいのかな?」「ドーリィの考えも間違ってないんじゃない?」など、色々な考えが頭をよぎります。
「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」は、大人が見ても色々と考えさせられる深い映画となっています。


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